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おかえりなさい


おかえりなさい
おかえりなさい
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
price : ¥2,693
release : 2001/03/28

子供たちを歌う喜び

 昔から歌う目的の大半は恋歌であり、また感情を音楽に昇華させるためには、どちらかと言えば喜びよりも傷ついた心であることが多いようだ。特に現代では成就しない恋愛が対象になりやすいのかもしれない。「わかれうた唄いの影がある」ではないが、ここで披露された提供曲も容赦ないほどそんな世界が展開されている。元歌を知っておく必要は特にないと思うが、知っていた方がより楽しめるのはアルバムの性格上確かである。そこで明らかなのは作品が生まれた事情まで知っている「母親」が歌った場合と他人である「恋人」が歌った場合の違いというものである。例えば諦めと未練の境界線で煩悶する「あばよ」のような曲で、感情を込めすぎない研ナオコの歌では諦めを、中島みゆきの歌では未練をより主題とした編曲と歌唱をしているよう。また、⑥の戻らない愛を、空を恋うる奇跡になぞらえた情念は深く、解釈も微妙に違っている。逆に桜田淳子の「しあわせ芝居」などは意外に近く、あるいは作者からのアドバイスがあったのかもしれない。「黄色のローズマリー」の花言葉から詞が広がったと推測される③の歌謡曲風のアレンジ、⑥後半のフラメンコ、⑨のテクノポップ系の編曲には遊び心があって、そんな懐の広いところも彼女の魅力だ。

 中島みゆきに先に歌われてしまったら、これらを再解釈して歌うのは勇気が要ることだが、結局は歌い手の技量と体験に委ねられるのかもしれない。どちらが良いというのも最終的には好みの問題になるだろう。リリース当時から毛色の変わったベストものという感じで好きな作品。お奨めだが、価格が高いのだけが難点

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